NC2010決勝 磐田 vs 広島
2010年のNC決勝戦。
XSCが存在するものの、天皇杯は正月であるものの、やはり今年最初のタイトルと言えば、このNCであろう。
名門復活といきたい、2001年以来の決勝進出、そして、98年以来、2度目の優勝をかける磐田。
相対するのは、非常に勢いがあり、J1昇格1年目でACL出場、2年目の今季NCの決勝の舞台に初めて挑む広島。
Jリーグでもお互いの勝点差は3で広島が上だが、ほぼ互角、前哨戦というべき26節では1-1でドローだっただけに、どちらが勝つのか分からない。
まさにサッカー日和と言うべき素晴らしい天候に恵まれた決勝。
2010Jリーグヤマザキナビスコカップ 決勝
国立競技場/39,767人
磐田 5-3 広島
(磐田) 船谷圭祐(36分)、前田遼一(89分、109分)、菅沼実(102分)、山崎亮平(104分)
(広島) 李忠成(43分)、山岸智(48分)、槙野智章(108+分)
XSCが存在するものの、天皇杯は正月であるものの、やはり今年最初のタイトルと言えば、このNCであろう。
名門復活といきたい、2001年以来の決勝進出、そして、98年以来、2度目の優勝をかける磐田。
相対するのは、非常に勢いがあり、J1昇格1年目でACL出場、2年目の今季NCの決勝の舞台に初めて挑む広島。
Jリーグでもお互いの勝点差は3で広島が上だが、ほぼ互角、前哨戦というべき26節では1-1でドローだっただけに、どちらが勝つのか分からない。
まさにサッカー日和と言うべき素晴らしい天候に恵まれた決勝。
2010Jリーグヤマザキナビスコカップ 決勝
国立競技場/39,767人
磐田 5-3 広島
(磐田) 船谷圭祐(36分)、前田遼一(89分、109分)、菅沼実(102分)、山崎亮平(104分)
(広島) 李忠成(43分)、山岸智(48分)、槙野智章(108+分)
磐田のスタメンは、1 川口能活、23 山本康裕、50 古賀正紘、13 イ・ガンジン、20 山本脩斗、6 那須大亮、27 上田康太、11 西紀寛、28 船谷圭祐、8 ジウシーニョ、18 前田遼一4-2-2-2。
J1での試合から中3日、中盤の底を岡田隆から上田康を起用してきたが、基本的にはJ1でのメンバーと同じ。
広島のスタメンは、21 西川周作、24 森脇良太、35 中島浩司、5 槙野智章、14 ミキッチ、8 森崎和幸、7 森崎浩司、16 山岸智、15 高萩洋次郎、13 高柳一誠、9 李忠成の3-4-2-1。
こちらもJ1でのメンバーが基軸ですが、その試合と同じくCHには森崎兄弟を起用、そして、負傷から復帰してきたミキッチが久々のスタメン起用。また、J1での試合に復帰してきた佐藤寿と山崎雅がベンチスタートで、ニューヒーロー賞に輝いた高萩洋と李がそのまま起用されている。
シーソーゲームは磐田が制す
両チームとも守備から入っているような展開だが、磐田の方が中盤で広島のパスを封じるが、広島は、少し前田遼を抑えきれず、多少磐田が優勢な展開。
しかし、時間が経つにつれて、徐々に広島が押し返しだし、五分の状況になった中で、右サイドに流れた前田遼がボールを受けると、すかさずクロスを入れると、ファーサイドで完全にフリーで入ってきた船谷圭がヘディングで決めて36分、磐田が先制。
これに対して広島も反撃、前半終了間際に、右サイドでミキッチがドリブル突破、磐田DF2人をかわして、更に2人をひきつけ、4人をサイドに引っ張り出すとゴール前に入れたボールに、タイミングが合わず完全に体勢を崩しながらも李が足に当てて、川口能の逆をつくようにゴールに流し込んで、43分、広島同点。
後半早々、中盤でのバス交換から一気に左サイドを抜け出した山岸智にロングスルーパスが通ると、完全に磐田DFを置き去りにした山崎智がGKとの1対1を冷静に決めて、広島が48分に逆転。
その後は、特に右サイドに開いてボールをうけて、個人技で広島を崩す西の存在感が発揮されて、磐田が優勢に試合を進め、更には、菅沼実を投入し、左サイドからの攻撃も出来るようになったが、しかし、なかなかゴールが奪えない。それでもサイドを何度も崩した磐田が、最後は右CKから那須大がヘディングシュート、これは西川周が素晴らしい反応で止めたものの、弾いたボールに唯一反応していた前田遼が押し込んで、試合終了間際の89分に磐田が同点に追いつく。
その後のロスタイムでゴールは生まれず、試合は延長戦へ。
延長前半、最初は広島が前に出るが、逆に磐田が、102分、今度は左CKからのボールに那須大がニアでそろすと、飛び込んだ菅沼実がボレーで押し込んで磐田が逆転。
更に、広島が前に出たい所で、2分後、中盤でボールを奪った磐田が、そこから一気に山崎亮が個人技で仕掛けて、ワンツーで抜けると冷静に蹴り込んで、磐田が4点目。
しかし、これで終わったかと思われた試合だったが、延長前半終了間際にゴール正面でFKを得ると、槙野智の強烈なキックは、壁の隙間を抜けてゴールに突き刺さり1点を返す。
これで持ち直したように思えた試合だったが、延長後半、前田遼へのロングフィードを広島DFがクリアしきれなかったのを前田遼が胸トラップから縦に抜けて左足シュート、これが広島DFの足に当たってループ気味のシュートになって、ゴールに入り、109分、磐田5点目。
その後、広島も攻めるもののゴールは奪えず、試合終了間際のロスタイムに、槙野智がPKを得ると、自らが蹴ったボールはほぼ正面で川口能が止めると、こぼれたボールを再び蹴りこもうとした槙野智のシュートは枠を外す、そして、この瞬間試合終了、磐田が5-3で勝利。
メチャメチャ面白かった試合
この試合は本当に面白かった。
NCの決勝にふさわしい、面白い試合だった。
立ち上がりは、お互いにリスクを嫌って、少々消極的というか、守備を意識した入り方だった事もあって、スピードの遅い試合であり、面白みを感じなかった。
しかし、前半1-1の同点になった後、更に、広島が逆転をすると、そこから一気に試合が動き出した。
サイドを制した磐田が、同点に追いつこうと襲い掛かると、広島もしっかりとボールをつなぎながら、前線へと仕掛けようとする事で、スピーディーな展開になった。
広島が逃げ切ろうとして、逃げ切れるか、それとも猛攻を仕掛ける磐田が同点から逆転へといくのか、本当に面白い試合だった。
そして、同点になった後の延長は、広島も磐田も、特に広島は再逆転を許してしまっただけに、点を奪う必要があり、前に出てきて、結果として本当に面白い試合になった。
最終的に、点の取り合いを制した磐田が勝利をおさめたが、結果以上に面白い試合だった。
サイドを制した磐田
この試合は、サイドの攻防が肝だった。
前半、磐田は西と船谷圭が中に絞ってしまっており、そのスペースは、完全にミキッチと山岸智にやられていた。
結果、磐田の両SBも攻めに転じる事が出来ず、サイドの攻防では広島が有利であり、それが、広島の2点につながったようにも思える。
また、磐田としては、前半の終盤で負傷したイ・ガンジンの調子が悪いのを承知の上で、後半いけるところまで引っ張ろうとしたのだろうが、結果、彼が動きが取れなくなってしまって、出来た動きの悪さの部分で、逆転ゴールを奪われてしまった。
ただ、その後の後半は、とにかく西が秀逸。
右サイドで基点となると、山岸智の裏でボールを受けて、そこから中に切れ込んでいく事で、右サイドを完全に制する。
更に、船谷圭に代えて菅沼実を入れると、同じく左サイドで開いて基点となり、また、それによって両SBの攻撃参加も出来るようになった。
これで両サイドを制した磐田が圧倒、前半とは逆にミキッチと山岸智が攻撃に参加できなくなった。
逃げ切ろうとした広島の最終ラインに中盤の選手が吸収されて、バイタルエリアでセカンドボールを悉く磐田が拾えるようになった。
この辺も磐田のサイドを制した効果でしょうね。
最終的に、そのサイドの攻防がこの試合の鍵の一つでしたね。
精神的支柱の有無
この試合の両チームの出来の差で、精神的支柱がいるかどうかと言うのもあったかもしれない。
結果論でしかないが、逃げ切ろうとして守備的なカードを切ったのだが、もし佐藤寿が出ていれば、試合の展開は全く違ったものになっていたかもしれない。
磐田の方は、守備に関して言えば、やはりベテランの川口能が一番後ろに控えて指示を出せると同時に、攻撃では前線で基点となり、ボールを出す事も受ける事も出来る前田遼の存在は大きかった。
まずは、前田遼を見て、苦しければ前田遼に預けて、そういうやり方が出来た。
それに対して、広島のほうは、確かに李などがいるし、中盤で森崎兄弟、特に森崎和という基点があったものの、終盤の状況で打てる手が無かった。
チームとして、防戦一方の広島を立て直す事が出来なかった。
徐々に攻められて、防戦一方の中で浮き足立つチームを、もし誰かが落ち着かせる事が出来たなら、確かに槙野智などムードメイカーはいるものの、チームの精神的支柱となるべき存在の不在、それが、最終的な結果につながったのでしょうね。
MVPは前田遼一
ニューヒーロー賞を広島の高萩洋次郎が得たのだが、MVPは前田遼一が得た。
とはいえ、この試合のMVPは、前田遼一か西紀寛のどちらかと言う所だっただろう。
西の出来は前述のとおり秀逸だった。
でも、それ以上にやはりチームを支え、2得点と1アシストと言う結果も出した前田遼のMVPには依存は無い。
本当に素晴らしい選手ですよね。
得点王を獲得しながらも、A代表に選ばれなかったり、選ばれても負傷したり、あまりプレーできず、不運なストライカーと言う印象があった。
しかし、現状の日本人では、トップクラスのストライカーである事は間違いないだろう。
その前田遼の活躍によって、勝った磐田に優勝おめでとう!
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J1での試合から中3日、中盤の底を岡田隆から上田康を起用してきたが、基本的にはJ1でのメンバーと同じ。
広島のスタメンは、21 西川周作、24 森脇良太、35 中島浩司、5 槙野智章、14 ミキッチ、8 森崎和幸、7 森崎浩司、16 山岸智、15 高萩洋次郎、13 高柳一誠、9 李忠成の3-4-2-1。
こちらもJ1でのメンバーが基軸ですが、その試合と同じくCHには森崎兄弟を起用、そして、負傷から復帰してきたミキッチが久々のスタメン起用。また、J1での試合に復帰してきた佐藤寿と山崎雅がベンチスタートで、ニューヒーロー賞に輝いた高萩洋と李がそのまま起用されている。
シーソーゲームは磐田が制す
両チームとも守備から入っているような展開だが、磐田の方が中盤で広島のパスを封じるが、広島は、少し前田遼を抑えきれず、多少磐田が優勢な展開。
しかし、時間が経つにつれて、徐々に広島が押し返しだし、五分の状況になった中で、右サイドに流れた前田遼がボールを受けると、すかさずクロスを入れると、ファーサイドで完全にフリーで入ってきた船谷圭がヘディングで決めて36分、磐田が先制。
これに対して広島も反撃、前半終了間際に、右サイドでミキッチがドリブル突破、磐田DF2人をかわして、更に2人をひきつけ、4人をサイドに引っ張り出すとゴール前に入れたボールに、タイミングが合わず完全に体勢を崩しながらも李が足に当てて、川口能の逆をつくようにゴールに流し込んで、43分、広島同点。
後半早々、中盤でのバス交換から一気に左サイドを抜け出した山岸智にロングスルーパスが通ると、完全に磐田DFを置き去りにした山崎智がGKとの1対1を冷静に決めて、広島が48分に逆転。
その後は、特に右サイドに開いてボールをうけて、個人技で広島を崩す西の存在感が発揮されて、磐田が優勢に試合を進め、更には、菅沼実を投入し、左サイドからの攻撃も出来るようになったが、しかし、なかなかゴールが奪えない。それでもサイドを何度も崩した磐田が、最後は右CKから那須大がヘディングシュート、これは西川周が素晴らしい反応で止めたものの、弾いたボールに唯一反応していた前田遼が押し込んで、試合終了間際の89分に磐田が同点に追いつく。
その後のロスタイムでゴールは生まれず、試合は延長戦へ。
延長前半、最初は広島が前に出るが、逆に磐田が、102分、今度は左CKからのボールに那須大がニアでそろすと、飛び込んだ菅沼実がボレーで押し込んで磐田が逆転。
更に、広島が前に出たい所で、2分後、中盤でボールを奪った磐田が、そこから一気に山崎亮が個人技で仕掛けて、ワンツーで抜けると冷静に蹴り込んで、磐田が4点目。
しかし、これで終わったかと思われた試合だったが、延長前半終了間際にゴール正面でFKを得ると、槙野智の強烈なキックは、壁の隙間を抜けてゴールに突き刺さり1点を返す。
これで持ち直したように思えた試合だったが、延長後半、前田遼へのロングフィードを広島DFがクリアしきれなかったのを前田遼が胸トラップから縦に抜けて左足シュート、これが広島DFの足に当たってループ気味のシュートになって、ゴールに入り、109分、磐田5点目。
その後、広島も攻めるもののゴールは奪えず、試合終了間際のロスタイムに、槙野智がPKを得ると、自らが蹴ったボールはほぼ正面で川口能が止めると、こぼれたボールを再び蹴りこもうとした槙野智のシュートは枠を外す、そして、この瞬間試合終了、磐田が5-3で勝利。
メチャメチャ面白かった試合
この試合は本当に面白かった。
NCの決勝にふさわしい、面白い試合だった。
立ち上がりは、お互いにリスクを嫌って、少々消極的というか、守備を意識した入り方だった事もあって、スピードの遅い試合であり、面白みを感じなかった。
しかし、前半1-1の同点になった後、更に、広島が逆転をすると、そこから一気に試合が動き出した。
サイドを制した磐田が、同点に追いつこうと襲い掛かると、広島もしっかりとボールをつなぎながら、前線へと仕掛けようとする事で、スピーディーな展開になった。
広島が逃げ切ろうとして、逃げ切れるか、それとも猛攻を仕掛ける磐田が同点から逆転へといくのか、本当に面白い試合だった。
そして、同点になった後の延長は、広島も磐田も、特に広島は再逆転を許してしまっただけに、点を奪う必要があり、前に出てきて、結果として本当に面白い試合になった。
最終的に、点の取り合いを制した磐田が勝利をおさめたが、結果以上に面白い試合だった。
サイドを制した磐田
この試合は、サイドの攻防が肝だった。
前半、磐田は西と船谷圭が中に絞ってしまっており、そのスペースは、完全にミキッチと山岸智にやられていた。
結果、磐田の両SBも攻めに転じる事が出来ず、サイドの攻防では広島が有利であり、それが、広島の2点につながったようにも思える。
また、磐田としては、前半の終盤で負傷したイ・ガンジンの調子が悪いのを承知の上で、後半いけるところまで引っ張ろうとしたのだろうが、結果、彼が動きが取れなくなってしまって、出来た動きの悪さの部分で、逆転ゴールを奪われてしまった。
ただ、その後の後半は、とにかく西が秀逸。
右サイドで基点となると、山岸智の裏でボールを受けて、そこから中に切れ込んでいく事で、右サイドを完全に制する。
更に、船谷圭に代えて菅沼実を入れると、同じく左サイドで開いて基点となり、また、それによって両SBの攻撃参加も出来るようになった。
これで両サイドを制した磐田が圧倒、前半とは逆にミキッチと山岸智が攻撃に参加できなくなった。
逃げ切ろうとした広島の最終ラインに中盤の選手が吸収されて、バイタルエリアでセカンドボールを悉く磐田が拾えるようになった。
この辺も磐田のサイドを制した効果でしょうね。
最終的に、そのサイドの攻防がこの試合の鍵の一つでしたね。
精神的支柱の有無
この試合の両チームの出来の差で、精神的支柱がいるかどうかと言うのもあったかもしれない。
結果論でしかないが、逃げ切ろうとして守備的なカードを切ったのだが、もし佐藤寿が出ていれば、試合の展開は全く違ったものになっていたかもしれない。
磐田の方は、守備に関して言えば、やはりベテランの川口能が一番後ろに控えて指示を出せると同時に、攻撃では前線で基点となり、ボールを出す事も受ける事も出来る前田遼の存在は大きかった。
まずは、前田遼を見て、苦しければ前田遼に預けて、そういうやり方が出来た。
それに対して、広島のほうは、確かに李などがいるし、中盤で森崎兄弟、特に森崎和という基点があったものの、終盤の状況で打てる手が無かった。
チームとして、防戦一方の広島を立て直す事が出来なかった。
徐々に攻められて、防戦一方の中で浮き足立つチームを、もし誰かが落ち着かせる事が出来たなら、確かに槙野智などムードメイカーはいるものの、チームの精神的支柱となるべき存在の不在、それが、最終的な結果につながったのでしょうね。
MVPは前田遼一
ニューヒーロー賞を広島の高萩洋次郎が得たのだが、MVPは前田遼一が得た。
とはいえ、この試合のMVPは、前田遼一か西紀寛のどちらかと言う所だっただろう。
西の出来は前述のとおり秀逸だった。
でも、それ以上にやはりチームを支え、2得点と1アシストと言う結果も出した前田遼のMVPには依存は無い。
本当に素晴らしい選手ですよね。
得点王を獲得しながらも、A代表に選ばれなかったり、選ばれても負傷したり、あまりプレーできず、不運なストライカーと言う印象があった。
しかし、現状の日本人では、トップクラスのストライカーである事は間違いないだろう。
その前田遼の活躍によって、勝った磐田に優勝おめでとう!
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