2013年09月19日 [20:35]   サッカー日本代表 | スポーツ | A代表/2013 

グアテマラ、ガーナ戦 雑感

ここ最近の試合で、どうにも失点が多く、守備の立て直しと新戦力の融合という二つのミッションを目指して挑んだ、9月のキリンチャレンジカップ。
その試合での思う所を書いておきたい。
今回のキリンチャレンジカップ2013において、必要となる課題は次の2点だろう。

1.守備意識の改善
2.新戦力の融合


1.守備意識の改善
本来であれば、守備の改善は本当は必要なくて、新戦力の融合に合わせて、自分たちのサッカーの質を高めていく必要があった。
しかし、CC以降と言うか、より正確に言うと今年に入ってからの日本代表のサッカーにおいて、守備の仕方が昨年までと異なり、どうにも曖昧な部分が目立ってきており、それがCC以降際立ってしまったという所だろう。
この辺は、何といくか本田圭が常日頃言っているように、今度の日本代表は守って戦うのではなく攻めて行くのだという意識によるところが大きいのだろう。
ただ、どうにも失点が増えて、それに対するためにより点を取る為に前に前にと出た結果、前線の選手の意識が前に行き過ぎていて、守備への切り替えが遅くなってしまっていた。
前線からのプレスで一旦限定した上で、コンパクトに追い込んで奪うのが日本の守備のやり方であったのだが、しかし、特に昨年のブラジル戦で、その前のフランス戦で行けると思ったやり方が全く通用しなかった事、それによって、守備の意識の変化と同時に、更にCCにおいて、意識の分断という問題が噴出してしまった。
それに対して、守備の改善が日本代表にとって急務になっていた。

結果だけで言えば、今回のキリンチャレンジカップでは、それが改善と言うか、戻すことが出来たように思える。
前線において言えば、元々守備意識の低い、柿谷曜や香川真であっても追い込んでいましたし、グアテマラ戦では少し手を抜いていた本田圭もガーナ戦では非常に良い守備を見せていた。
ガーナ戦では失点してしまったものの、そこはミスから始まったガーナの攻めに対して、香川真だったり、長友佑だったり、内田篤だったりがしっかりとした守りを見せた結果の不運な失点であり、逆説的に、日本が本来の守備が出来ていたからこその失点になった。とはいえ、後半歩早くならないといけないのは、CCで判明した部分であり、そこはここからの課題でもあるだろう。

また、前線で追う事によって、相手の攻撃を限定したうえで、長谷部と遠藤が上手くスペースを埋めておいて、縦を切って良き、最終ラインの跳ね返しを彼らが拾う事も出来ており、全体を繋ぐ所で効果的な存在となっている。
この辺で、出来れば奪える力もあれば良いのだが、現状で、それ以上を求めて、肝心のバランスが崩れるよりはという所になるかもしれない。

最終ラインに目を向けると、ここ最近のミスが目立った吉田麻をいったん外すかと思われたが、逆に今野泰を外して森重真を起用してきた。
この辺、ザッケローニ監督の中で吉田麻を成長させる意図もあったのではないかと同時に、やはり吉田麻を超える存在が今の日本にいないという事だろう。
確かに吉田麻を外すというのも一つの手ではあったが、もしかしたら、それが却って吉田麻を追い詰める事になったかもしれない。それよりも、起用しておいて、信頼している事を示したという事だろう。
ある意味賭けに近くて、もしグアテマラ戦で失点するような事があれば、来年のWCに吉田麻が使えない事態もありえたかもしれない。とはいえ、グアテマラと言う劣る相手だった事、そして、それに加えて、いつもの今野泰ではなく、森重真を起用して、しかも、左CBとして起用する事でいつもと環境を変えた事が気持ちの切り替えにも繋がったかもしれない。
結果、2試合通じて吉田麻は復調してきたように思えるし、今野泰だけでなく、森重真も通用する事が分かった。吉田麻の復活だけでなく、森重真によって、今野泰に対しても危機感を作って、最終ラインのカバーの意識を高めた事もプラスに繋がっている。

今回、全体として、守備意識の改善は間違いなく出来て、今の守備で言えば、昨年のレベルには戻せていると言えるだろう。

守備の課題
しかし、守備が戻ってきたとはいえ、課題が無いわけではない。
当たり前であるが、先ほどから書いている通り、昨年ベースの守りが戻ってきただけである。
そして、それは、ブラジル相手に通用しなかった。確かにブラジルクラスと試合をするのは、WCの舞台でも少ないだろう。
但し、同時に各グループには、第1シードとしてブラジルにヒケを取らない相手が入ってくる。また、GLを突破してベスト16では、そのブラジルクラスと当る可能性だって高い。
つまり、どうしたって、あのレベルに最低限簡単にやられないだけの守備のレベルアップは必要になってくる。
また、この2試合において、グアテマラもガーナもスピードを活かしてきたが、高さは大したことが無かったというか、高さで挑んできてはいなかった。
だからこそ、セットプレーの守りを中心に、相手の高さに対する事に加えて、本格的に決定力のあるストライカーを擁する相手をどうやって抑えていくのか、そういう守りの部分での上乗せは急務となってきている。

2.新戦力の融合
レベルアップを図っていく上で、大切なのが新戦力の融合だろう。
先に書いたように、最終ラインで森重真を起用して、グアテマラ相手に非常に良い守りを見せていた。
今野泰に対しての信頼もあるだろうが、森重真が悪く無いというのもあって、ここで吉田麻のコンビとして可能性を感じさせている。
SBに関しては、内田篤に代えて酒井高を起用してきて、破綻が無く、確かに守備面においては内田篤の方が上ではあるが攻撃に関して言えば、酒井高が上であり、左サイドから右サイドでの起用で破綻をさせなかった事で、今後、左偏重になる攻撃に右でのアクセントを加える存在となりえるかもしれない。

そして、それ以上に存在感を発揮していたのは、今回試していた前線だろう。
そもそも、中盤より後ろに関しては、西川周だったり、森重真だったり、酒井高を試してはいたが、本質的に、試験していたのはアタッカー陣であり、今回で言えば、工藤壮と大迫勇、そして、柿谷曜だろう。
工藤壮に関してはゴールと言う結果を出したものの、正直言えば岡崎慎がいる以上、可能性は低いと思える。ま、バックアッパーとして起用と言うのもあるが、しかし、アタッカーに関して言えば、試合途中の交代で流れを変えるというのも考えるとすれば、同じようなタイプはそこまで必要としない。
そう考えた時に、齋藤学の方がとなるが、起用された時間が短くてアピール不足ではあった。

それに対して、一から再度選び直しているように見える1トップに関して言えば、柿谷曜は既に当確という所かもしれない。
1トップを採用するために、二人か三人となる所で、一枠を確保したように思える。
プレースタイル的に一人でどうこうという訳ではないが、ここ数試合で、本田圭や香川真とのあわせが出来てきている。特にセンスのある柿谷曜は、彼らと同じ絵を描くことが出来る為に、非常に前線でダイレクトでスピードのある攻撃が出来る。
また、パスを出せる事もあって、今回はあまり試せなかったが、岡崎慎ともしかしたら相性は良いかもしれない。
1トップと言うよりも0トップに近くなるものの、技術の高い柿谷曜は、スタメンとなるかどうかは不明とはいえ、一つの武器となりえている。
また、課題の前線からの守備と言う面でも、相手の攻撃を限定するなど、ボールを奪うには至らないものの、及第点の守備は見せていた。

対して、個人的には前田遼に代わって、1トップとして期待していた大迫勇だが、少しアピール不足となった。守備意識の高さはあったものの、決め手には欠けた。
得点が無かったというのではなく、彼が入った事で、前線でもう少し基点となれれば良かったのだが、そこまで信頼されていなかったのか、どうにもおさまりは良かったとは言い難い。
但し、現状で、前田遼が復調してこないのであれば、彼をもう少し試しておきたい所だろう。

それ以外のところは、先に書いたように、ほとんど現状のままであったが、しかし、やはり、そこは変えようがないとも言える。
特に中盤に関して言えば、本田圭、香川真、岡崎慎、遠藤、長谷部の存在感の大きさがはっきりしていて、そこを脅かす選手が欲しいのだが、結局、奪える選手は出てきていない。
とはいえ、遠藤に関しては、その存在感が大きく、代えがきかないからこそ、課題となりえる。
現代のサッカーにおいて、展開速度が速くなってきた事もあり、CHに求められるレベルは以前よりも更に高くなっている。
しかし、サッカーにおいて、このポジションが何よりも重要なのは言うまでもなく、そこで、各チームにおいては、守備のみとして役割を限定してしまうか、もしくは、二人ないし三人で、求められるスペックをみたすという方法。
日本代表においては、攻守のバランス感覚において、長谷部と遠藤のコンビで漸くボランチとなる。
そして、そのバランス感覚は、現状、日本の選手においてどう組み合わせても超える事が出来ないと感じさせてくれた。ここ最近の悪い流れの時は遠藤が前で長谷部が下がってしまっていてが、そうではなく、長谷部が前に出て、遠藤が後ろで支える形、その状態が日本が最も攻守に安定する。
どうしても固定する事で、批判が出てくる所でもあるが、現状において、少なくとも今の日本代表の戦い方に置いては、遠藤と長谷部のコンビ以上が出せない。
但し、遠藤も既に年齢的にピークは過ぎており、今季のプレーを見ていても、常にベストとは言い切れない。
WCにおいては、日本が、ベスト16、ベスト8と進むためには、4試合以上の試合を短期間に行っていく。
その中で遠藤が全てにおいてベストパフォーマンスを出せるかは分からないとなれば、彼をどう使っていくのかと言うのは、新戦力にとっての課題になるだろう。
今回は、引き続き青山敏と山口螢が招集されたが、共にアピールしきれなかった。
個人的には、遠藤の代わりには青山敏に期待したい所だが、今のところ、遠藤の前にかすんでいると言わざるを得ない。

但し、今後ももしザッケローニ監督が3-4-3にこだわるのであれば、遠藤よりも青山敏の方がプレースタイル的に適しているように思える。
つまりは、遠藤を温存するために、3-4-3の戦いで青山敏を起用するのも一つの手ではあるが、そもそも3-4-3自体が今の日本サッカーにとって足かせになっている感があるだけに、先は長い。

新戦力の課題
先に書いたように代えの効かない選手のバックアップをどうしていくのかと言う点は重要になるだろう。
何よりも、遠藤と長谷部に加えて、本田圭がいないと日本のサッカーが機能し切れないという現状を考えると、彼らをどうやって起用し続けるのかと言う所、特に勝負所や重要な試合で彼らがいないという事にならないようにする為に、控えの重要性は高い。
今のところ、本田圭に関しても遠藤に関しても、いない場合は、全体的に全く異なるサッカーへと変化させるほどの思い切った変更が必要になりえると思える。

そして、早くも融合が出来ている柿谷曜ではあるが、彼が入る事で攻撃に関してはアクセントになりえている。
しかし、守備面で言えば、確かに高い位置からの守備意識は改善されたが、単純な高さを必要とするセットプレーにおいて、1枚駒を失っているという事も言える。
日本の弱点はセットプレーであり、そこで失点しているので、その改善は必要であるし、同時に、日本の武器もセットプレーであり、本田圭に遠藤という左右のキッカーを擁している事を踏まえても、高さがあれば、得点のパターンも一つ以上増えることになる。
その意味でも、今後の対戦相手として、高さを活かしてくるような相手で、柿谷曜を加えてどう戦うのかと言うのも試しておかないといけないだろう。

3.今後
キリンチャレンジカップを経て、2つの課題改善に取り組むことが出来た。
次は欧州遠征になるが、そこで、現状でザッケローニ監督は欧州組の起用を明言している。
最近呼ばれていない、ハーフナー、乾、細貝に、酒井宏、大津祐という所に加えて、宮市や指宿に加えて、更に下の久保という所もチェックしたいという話をしている。
国内組として、現状では、柿谷曜が新戦力として確固たる地位を掴みつつある中で、他のメンバーに加えて、先の欧州組だけでなく、前田遼や豊田陽と言う所、大迫勇や工藤壮なども含めて、今後の残り数試合の中で、最終的なメンバーを決めていく事になる。

残り時間は少ない中で、新戦力の融合から一歩進んで、次のステージに進むための全体のレベルアップが重要になってくる。
今回のキリンチャレンジカップは、今の日本代表にとって非常に対戦相手の力関係においても非常に良い試合になった。
スケジュールや対戦相手を決めるタイミングで、今の日本代表の状態を予想することなど不可能であるが、強豪との戦いが続いて出てきた課題を見極め、対処するのにおいて非常に良い相手と対戦できたと言えるだろう。
今度は欧州遠征で欧州での戦力の見極めを行える。
出来る事なら、その後、11月か12月に後一戦をしておきたい。
相手は、出来れば、今回のガーナのようなアフリカ勢か、もしくは、南米勢で、WC出場を決めた相手。
11月であれば、南米も決まり(10月が最終)、12月ならばアフリカも決まる(11月が最終戦)。
WCで当る可能性の高い相手と戦って、自分たちの力を試す事、おそらくGL突破のライバルになりえるだろう相手と戦って自分たちの力を試しておきたい所だ。
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    部下D

    Author:部下D
    「闇を○くもの」「狂える○竜」などの二つ名をもつも、著作け…大人の事情で名前をぼかしている小心者の中間管理職員。
    一応魔王らしく、世の中を斜めに、皮肉に批評します。